ここは、福島県いわき市にある平屋の一軒家。玄関をくぐった引き戸の先には、奥行きのあるリビングが。リビングの大きな窓の前には、木々が生い茂る風景が広がり、その先の斜面の向こうにはずーっと遠くまで空が続いています。室内の第一印象は、なんといっても「潔い」こと。キッチンもダイニングもひとつながりになったリビングに、ベッドルームという2部屋で構成された、極めてシンプルかつ大胆な間取りが特徴です。その分、空間にゆとりが生まれ、いかにも居心地が良さそうな雰囲気。それでいて、床も壁も天井も、すみずみまで手を尽くしたディテールからは適度な緊張感も漂っています。ぽつんぽつんと少しずつ置かれた家具や食器類は、生活のアクセントとなる、必要十分な暮らしの道具たち。慎重に選ばれたであろう道具からは、家主の丁寧な暮らしぶりが伝わってくるようです。
なめらかなカーブを描いた肘掛けや背もたれ、
木製フレームのやさしい手触りは、
椅子の座り心地を確かに高めてくれます。
普段はダイニングテーブルとセットで使いながら、
窓辺に持っていってくつろいだり、
のんびり読書をしてみたり。
どこに置いても様になるカタチは、
広くて自由に使えるこの空間を、
思いのままに楽しむためのデザイン。
リビングの端っこにある小さな薪ストーブは、
そこにあるだけで暖かそう。
暮らしにゆとりが生まれそうなアイテムです。
薪をくべたり火の始末をしたり。
みんなで暖をとるためにじっくりと
手間をかけることで、季節の移り変わりや
日々の暮らしを肌で感じることができる、
ここでの暮らしの小さなシンボルです。
3人掛けのソファは、北欧のヴィンテージもの。
大きめなのに重くならないのは、
座面が宙に浮いているかのような
細い足のおかげ。ベッドルームの奥に見えるのは、
背の高い木製のクローゼット。
リビングから見ても違和感なく収まりながら、
収納力はたっぷり。どちらも、
この空間に溶け込んだ、この家にピッタリの家具。
家具と同様に、器だって本当に必要な、
選び抜いたものだけを置いてあります。
中でもお気に入りだというのが、キッチンの飾り棚に
並んだ器たち。土っぽい素朴な色合いと
アイボリーの壁とのコントラストが、
そのあたたかみを引き立ててくれています。
器に混じって所々かわいい置物が並んだ、
自分だけの、ちょっとした暮らしのギャラリー。